投資?投機?ギャンブル?その違いを解説
はじめに: 投資とギャンブルの線引きはどこ?
「自分がしていることは投資なのか?それとも投機なのか?」
投資を始めたばかりの頃、こんな疑問を抱える人は少なくありません。
日本では金融リテラシーが他国に比べて低く、「投資=ギャンブル」という誤解も根強いためforbesjapan.com、投資に対して漠然とした不安を持つ人も多いでしょう。
実際、とある調査では投資未経験者の約3割以上(34.5%)が「投資はギャンブルのようなものだ」と回答していますforbesjapan.com。しかし本当にそうなのでしょうか?
結論から言えば、投資・投機・ギャンブルは似て非なるものです。
その違いをきちんと理解すれば、投資に対する不安や誤解も解けるはず。
本記事では、初心者の方にも分かりやすいように投資・投機・ギャンブルの明確な違いを解説していきます。肩の力を抜いて読み進めてみてくださいね
投資とは何か?価値を育ててリターンを得る行為
投資とは一言でいうと
「自分のお金を企業や資産に預けて価値を育て、その成果の一部を受け取る行為」です。
難しい定義はさておき、イメージとしては「お金が生る木(金のなる木)を育てる」ようなものです。企業やプロジェクトという“苗木”に資金(水)を注ぎ、その事業が成長して“果実”が実れば
出資した私たちにも果実(利益)が分配されます。
例えばある会社に出資(株式を購入)したとします
その会社は集めたお金で設備投資や事業拡大を行い
提供する商品・サービスという「価値」を高めていきます。
価値が高まって事業が成長すれば利益(儲け)が増え、その一部が配当金や株価上昇という形で出資者に還元されます。
つまり投資とは、価値を生み出す活動にお金という肥料を与えて応援し、その見返りを受け取る行為と言えます。
価値が向上し利益が出れば出資者も得をしますし、逆に事業がうまくいかなければ利益は減りリターンも縮小します。
投資には常に「うまくいけば増えるが、失敗すれば減る」というリスクとリターンが表裏一体で存在しますpictet.co.jppictet.co.jp。
ポイントは、このリスクとリターンがギャンブルのそれとは本質的に異なる点です。
投資の場合、資金提供によって経済のパイそのものを大きくすること(価値の創出)が期待できます。
先ほどの“金のなる木”の例で言えば、10人で種を買って育て、最終的に10個の果実が実れば、全員が1個ずつ利益を得られるというイメージですreal-media.jp。
経済全体の価値が増え、参加者全員が得をする可能性があるのが投資の世界なのです。
投機とは何か?価格変動に賭けて利益を狙う行為
投機とは、将来の価格変動を予想して売買を行い、その差額で利益を得ようとする行為ですsawakami.co.jp。
英語では「Speculation(スペキュレーション)」と呼ばれますが、漢字のとおり“一時の機会に乗じて資金を投じる”イメージで、短期的な売買で利ざやを狙うことを指します。
簡単に言えば「価格が上がりそうなものを安いうちに買って、高くなったら売るぞ!」
という動きです。
先ほど投資が「価値」に注目する行為だとすれば、投機はもっぱら「価格」に注目する行為ですsawakami.co.jp。
対象そのものの長期的な価値向上にはあまり関心がなく
市場価格の上下だけを見て利益を得ようとします。
例えば、企業の業績や成長性よりも
「明日の株価が上がるか下がるか」に賭けて売買を繰り返すのは典型的な投機でしょう。
短期間で大きな利益を得られる可能性がある一方
予想が外れれば短期間で大損するリスクも高く、ハイリスク・ハイリターンの性格が強いです。
実際、一攫千金を狙う投機的な売買では、大儲けする人がいる裏で大損する人もおり
場合によっては投入資金がゼロになることもあり得ますreal-media.jp。
もっとも、投機と投資を完全に線引きするのは難しく
投機も広義には「短期志向の投資」の一種とも言えますn-estem.co.jp。
短期勝負とはいえ為替や株価の動きを分析し、合理的根拠に基づいて予測・判断するのであれば
それは一つの投資戦略ですn-estem.co.jp。
逆に言えば、十分な情報収集や分析もなく勘だけで売買を繰り返すなら
それはほとんどギャンブルと変わりありません。
知識や裏付けなしに市場に飛び込めば、投資も投機も結局は博打になってしまうので注意が必要です
ギャンブルとは何か?偶然の勝敗にお金を賭ける行為
ギャンブルとは、勝敗の結果が偶然や運に大きく左右される勝負事に金品を賭ける行為です。
賭け事・ばくちとも言われ、典型例はカジノのルーレットやパチンコ、
競馬、宝くじなどが挙げられます。
これらは短期的に当たれば大金を得られる魅力がある一方で
長期的に続ければ必ず胴元(主催者側)が得をし参加者全体では損をする仕組みになっています。
というのも、ギャンブルには必ず運営者側の取り分(テラ銭やハウスエッジ)があり
参加者に平均して還元される額は賭け金総額を下回るよう設計されているからですreal-media.jp。
例えば宝くじの期待払い戻し率(還元率)は約46%とされ
購入者全体で見れば支払った額の半分以上が戻ってこない計算になりますreal-media.jp。
要するにギャンブルは期待値がマイナスのゲームなのですpictet.co.jp。
最初はビギナーズラックで勝てることがあっても、繰り返せば運の要素は収束し
手元のお金は統計的にみて目減りしていきますpictet.co.jp。カジノや公営ギャンブルが
「胴元が必ず儲かる」と言われるのはこのためです。
一方で投資は期待値がプラスになる可能性がありますpictet.co.jp。
経済成長や企業の価値向上によって生み出された利益の一部を得る行為なので
時間を味方につけて長期で続ければ資産が増えていくことが期待できるわけですpictet.co.jp。
両者は表面上どちらも「当たれば儲かり、外れれば損をする」点だけ見ると似ていますが
その仕組み上の期待値が真逆であり、長期的な結果には決定的な差が生まれます。
また、ギャンブルと投機はどちらも短期勝負という点で似ていますが
ギャンブルには投機や投資にはない“主催者”の存在がありますreal-media.jp。
主催者は運営費や利益を確保するため、参加者からわずかずつテラ銭(手数料)を差し引きます。
その意味で、ギャンブルは参加者同士でお金を奪い合いながら、さらにハウスに上前をはねられている状態といえますreal-media.jp。
例えば先ほどの“果実”の例で説明すると
本来10個成る木の果実のうち、あらかじめ主催者が3個取ってしまい残り7個の取り合い
を参加者でしているようなものですreal-media.jp。
これでは参加者全体としてプラスになるはずがありませんよね。
ギャンブルとはそういう構造なのです。
三者の違いをまとめると…
以上を踏まえ、投資・投機・ギャンブルの違いを簡単にまとめてみましょう。
- 投資: 基本は中長期目線。事業や資産の本質的な価値向上によるリターンを狙う行為。
経済のパイを大きくして参加者全員が得をする可能性があるポジティブサムゲーム。
期待値はプラス寄りpictet.co.jpだが、価値が下がれば損失リスクもある。 - 投機: 短期目線。資産の価格変動を利用して利益を狙う売買行為。
価格予想が当たれば大儲け、外れれば大損というハイリスク・ハイリターン型。
参加者間の利益の奪い合いで、誰かの得は誰かの損になるゼロサムゲームに近い。
ただし分析次第では合理的な投資手法にもなり得る。 - ギャンブル: 超短期決着。偶然の結果に金銭を賭ける行為。
運任せで再現性がなく、期待値は常にマイナスpictet.co.jpのため長く続ければ必ず胴元が勝つ仕組み。主催者への手数料分だけ損をする確率が高く、参加者全体ではマイナスの
ネガティブサムゲームである。
おわりに: 賢い投資家になるために
投資・投機・ギャンブルの違い、お分かりいただけたでしょうか?
投資はギャンブルではないとはいえ、知識も準備もなく闇雲に始めてしまえば
それは「ほぼギャンブル」と言われても仕方ありませんn-estem.co.jp。
裏を返せば、正しい知識を持って望めば投資は決して怖いものではなく
将来の資産形成に役立つ有力な手段です。
実際、日本でも近年ようやくNISAや投資信託の普及によって「貯蓄から投資へ」の流れが出てきました。
まずは少額からコツコツと、余裕資金で長期投資を試してみるのがおすすめです。
株式や債券への分散投資でリスクを抑え、時間を味方につけてじっくり育てる投資なら
ギャンブルのような一発勝負の怖さとは無縁です。
pictet.co.jpでも触れたように、期待値がプラスのものに賭け続ける限り
長期的には資産が増えていく可能性が高まります。
知識という水と努力という肥料を注ぎながら、自分だけの「金のなる木」を育てていきましょう!
きっと将来、実った果実を味わえる日が来るはずですよ🌳💰
【参考文献】投資と投機とギャンブルの違いに関する参考資料:さわかみ投信「投資と投機の違い」sawakami.co.jp、イー・トラスト「投資とギャンブルの違い」n-estem.co.jpn-estem.co.jp、Real Media「投資・投機・ギャンブルの違いを知っておこう!」
※この記事は2022年に一度アップしていたものをリライトしたものです
読みやすくなっていれば幸いです